【月刊 東京ぐらし】vol.23 誰そ彼/タソカレ

エッセイ

毎月の終わりに一度、田舎から引っ越してきて東京に暮らす筆者が最近感じたことをまとめたエッセイと趣味の写真なんかをまとめた 「東京ぐらし」。

 

大学4年生もあと2ヶ月で終わり(休学中なので自分は卒業しないけど)。4年もあると人間は色々変わるもので、仲良くしていた人が消息不明になることも度々発生する。

折角だし、今回は大学生活で出会ったそんな人々について回想していきたい。

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今月のいろいろ

誰そ彼/タソカレ

vol.1 ゼミメンバー「K」

彼の名は「K」、大学3年生から始まったゼミで一緒になったメンバーだ。彼は出会った頃から不思議な雰囲気があった。なんというか、教室の隅からはしゃいでる人たちを傍観して、薄ら笑うような。決して貶しているわけではなく、彼を知っているゼミナールのメンバーなら皆が同じことを感じていたと思う。

ただ、そんな不気味な彼を嫌いだったわけではなく、むしろ「面白い人だ」くらいに思っていた。例えば、大学3年の夏に突然アメリカ横断旅行を行っていたり、モンゴルでの遊牧生活を夢みていたり、大学生ならではの無鉄砲な行動をする彼は僕の目には輝いて見えていた。

 

しかし、やっぱり不思議なところがあって、それを垣間見たのが彼が書いているnoteを覗いたとき。その最新記事が「アメリカ横断旅行について」といったタイトルだった。口数の少ない彼の思考を覗ける数少ないチャンスに少し心が躍ったような。ただ、そんな期待は一瞬で裏切られる。その内容のほとんどが「アメリカ横断について、いちいち聞いてくるやつがうるさい。お前らに話して何がわかるのか…」と全方位に対して批判めいた内容になっていたからだ。

「アメリカ横断したんだ」と言われたら、自然と「どうだった?」と聞いてしまうものだし、僕自身も彼に尋ねた気がする。例えば、身長の高い人が「身長高いですね」と言われるように。実際、対象者側になると何かと感じることもあるのかもしれないが、あまりにも攻撃的な内容だったので驚いた記憶が強く残っている。

 

これが彼との出会い。その後、急に「渋谷に行こう」と誘われ、2人きりで渋谷デートをしたことや一緒にゼミ合宿にも参加した。しかし、彼の行動は常に他のメンバーとは一歩離れたところから傍観し、我関せずといった立ち振る舞い。何かをすると鼻で笑ったりと印象が強く、ゼミ内では誰も口にはしないものの不気味と言ったらの存在になっていた。

そんな彼との幕切れは突然で、毎週やっていたzoomでのオンライン飲み会を連絡無しに無断キャンセルされてから音沙汰なしになった。ゼミという2年間契約での付き合いなので、引きずる必要もないのだけれども、なんとも後味が悪い幕切れだ。その後もゼミの授業で顔を合わすことはあるけれど、話したりすることは一切いないし何もなかったことになっていくんだと思う。

 

vol.2 サークルメンバー「T」

こちらも大学で出会った人物。彼の名前は「T」。低身長の小太りで、常に大量の荷物を抱えて移動していた。大学入学から2ヶ月ほど経った頃、サークルで出会った。その後、4年近く付き合うことになるのだけど、意外と最初の記憶は少ないもので、毎日サークル室で顔を合わせ、取り留めのない話をしているうちに仲が深まっていった気がする。

夜遅くまでサークル室でお酒を飲んで酔いながら街に繰り出したり、学校を徘徊して迷惑をかけたり、はたまた京都旅行に行って迷惑をかけたりと、そういった青春の1ページとも若気の至りともいえる活動の際には常に彼も一緒にいた。なんとなく、大学を卒業しても緩く、細く、繋がっていく人物なのだろうと思っていた矢先のこと。急にホームレスになったという知らせが届いた。

ほんの1ヶ月前まで、渋谷で遊んで一緒にカレーを食べに行った彼が急にホームレスになったというのだから驚く。理由を聞けば、家庭環境が原因で精神病になり、家庭から距離を置いたのだという。その余波から、内定辞退、大学休学など人生の歯車が大きく狂っていた。この時、卒業のたった3ヶ月前だ。

 

もちろん、4年も連れ添った仲なのだから老婆心が働く。話を聞くため、何か助けるためと、彼を訪ねて蒲田へ向かった。待つこと30分、改札から出てきた彼はボロボロのジャージにどこかから拾ってきたかのようなパンパンのリュックとプラスチックバッグを抱え、誇ったように「座椅子を貰ってきた」と語る。見た目は完全にホームレスだった。街中を歩いていたら、近づくのを躊躇うレベルだろう。

そこから、いろいろと会話を交わした気がするが、その内容も貧乏くさい話ばかりだった。蒲田駅から歩くこと約10分。彼の”家”という場所は、一軒家を改築して、仕切りに分けたギュウギュウの一室。3畳ほどしかなく、一緒に向かった友人も含めて3人で入るのは無理があるくらいだった(彼からの連絡では、余裕で入るとのことだった)。

そこで色々と話を聞かされた。「親のせいで〜、バイトのせいで〜、海外なら〜」といった他社のせいにするものばかり。確かに、一理はあったものの「彼が悪いのでは」と思う部分もあったので、その点について質問すると血相を変えて、「そういう考えのやつが〜」と人格否定も含むような内容で怒涛の反論をしてくる。自分の意見が絶対で、自分の意見への批判は許さない格好だった。そして、また口を開けば「俺が過ごしていたスウェーデンでは〜」といった懐古。

 

深いバックグラウンドがあったのだろうから、外野がアドバイスをすることも野暮なのかもしれないが、あまりにも余裕のない彼の態度はまるで別人だった。アイデンティティーが失われた彼にとって、最後のすがり所でもある場所を指摘されて怒りが湧いたのだろう。その気持ちは分からなくもないが、あまりにも貧相。臆さずにいえば、人間ここまで堕ちるのかさえ思った。その後、追い出されるような形で彼の元を離れ、その後「自分の意見に反対するやつは全員ブロックする」との宣言のもと、連絡手段が絶たれてしまった。

あまりにも華麗な転落劇にあてる声もない。「明日は我が身」とはよく言ったものであり、「反面教師」ともよく言ったもの。これから、自分の人生の中にも良し悪しの波があるだろうけれど、彼のようにならないようにしようと心に誓ったのは言うまでもない。

 

vol.3 TikToker「S」

暗い話が続いた、最後はすごくなった人を紹介しておこう。彼の名は「S」、現在100万人越えのフォロワーを持つ有名TikTokerだ。僕自身、そのSNSを利用していないので、彼の作品を見たことはないのだが、ニュースサイトや広告で彼が出てくるのだから、かなりの知名度らしい。

 

彼との出会いは、海外でのインターンシップだった。大学3年次、学校の制度を利用してシンガポールへの職業体験へ向かった。その体験自体は面白いわけではなかったのだけど、初めてのシンガポールに終始興奮していた思い出が残る。

そんな最終日、体験発表という名のプレゼンがホテルの一室で行われた。その中に、シンガポールで留学を行なっていた同大学の学生が参加していて、それがSだった。正直、普通の大学生という印象で、この人物が有名になるなんて全く感じることはできなかった。「なぜシンガポールで留学しているの」など当たり障りのない会話をしてSNSを交換して別れた。

 

それから約6ヶ月後、彼のInstagramをみるとフォロワーが1万人を超えていたから驚く。なんやら、TikTokというプラットフォームで急激にフォロワー数を伸ばしているらしい。彼の状況は更新するたびに変化していった。フォロワー数が50万、100万…有名人とのコラボなど、まさに今の時代を象徴するインフルエンサーといった感じ。

シンガポールで別れてから連絡を取っていないので、全くもって仲が良いわけではないのだが、そんな人物とフォロバをしているのが少しの自慢だったりする。有名人になると親戚が増えると言うけれど、今度調子に乗って連絡でもしてみようか。

 

大人になるってこと

印象的だった3名を紹介していたが、他にも印象深かった人はたくさんいる。やはり、年齢を重ねると人生いろいろと起こるらしい。この世に命を授かって23年。これから社会人としての道を歩む中で、ますます濃厚な出会いが待っているだろう。その中には、運命の出会いのようなロマンチックなものから、殴り合って絶縁するような壮絶なシーンもあるかもしれない。

どんなことが起こるかは誰にも分からないけど、節目ごとにそんな思い出をまた綴っていって「こんなこともあったなぁ」なんて、備忘録的に楽しみたいと思う。

 

面白かった映画 -THE GUILTY-

警察のコールセンターでのみ展開する映画。電話先でストーリーが広がっていくのに関わらず、映像は主人公の警官にのみフォーカスが当たり続ける。逆に想像が掻き立てられる不思議な体験。

伏線の回収など、最後まで飽きずに見ることができた。

Yuyaの映画レビュー | Filmarks
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今月の写真 -明治神宮-

<明治神宮>は北参道鳥居より

明治神宮には深い思い出がある。上京1日目、新宿に降り立って暇を持て余した青年が早朝の街に繰り出した。フラフラと渋谷方面に歩き出し、急な森が見えたかと思えば、そこがかの有名な明治神宮だった。初めて踏み入れたそこは、大東京の喧騒から離れまるで地元の森へと迷い込んだかのような静寂。

そんな神聖さに身を包まれふと振り返った先、鳥居の先に見えるは代々木ドコモタワー。この景色が自分にとっての上京を表現する思い出深い景色だ。上京4年目、初詣に向かった時に振り返ったときもこの景色は変わらないままだったけれど、何か違った感情をもって目に映った。

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まとめ: Re就活

今年も3月になった。1年間先延ばしにした就活もそろそろ考え始めなくてはいけないところ。

大学5年生も嫌いではないけれど、いずれにせよ社会には出なくてはいけない気がしてきている。約1年のインターンシップを経て、社会の1%は知ったような気がする。正直、面接が大嫌いな自分にとって就活は鬱でしかないけれど、進めなければいけないことを徐々に進めていきたいと思う。

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